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2025年11月28日(金)

厳しさを増す環境規制、半導体関連企業の遵守の勘どころを知る「国際EHS規制適合セミナー」

株式会社エンライト 伊藤 元昭
 

 ※本記事は、SEMIジャパン国際規制適合委員会(ICRC)共同委員長 鶴元浩氏(東京エレクトロン)へのインタビュー内容を踏まえ編集しています。

半導体の製造装置・各種コンポーネント・材料の販売時に準拠すべき環境関連法規制は、欧米から世界各国へと広がって対象・基準が年々強化されており、今後さらに厳格化することが見込まれます(図1)。製造装置・材料メーカーにとって環境規制の遵守は市場参入の必要条件となるため、動向の注視と適切な対処が一層重要になってきています。
 

図1 世界の製品環境規制動向


図1 半導体産業の企業が遵守すべき環境規制は年々増加し、基準も強化

 

現時点において、化学物質関連規制をはじめとして、エネルギー効率化規制、F-Gas規制、バッテリー規制、梱包材規制など、より多様な法規制が世界各国で制定・拡充されていることに加え、内容が国ごとに異なるため、国別の固有対応が求められる場面が増えています。

特にPFAS規制は対象物質が膨大で各業界に多大な影響を及ぼしているため、適切な対処には業界全体の協力体制が不可欠です。川上から川下までサプライチェーン全体で効率的かつ適切に対応する体制を構築・運営しつつ、各国規制の動向を注視してビジネス影響を洞察し、プロアクティブに活動を推進する必要があります。また、政府主導で半導体産業の育成・強化が加速しているインドのように、新たな市場での異質な規制への迅速な適合も課題です。

SEMI(グローバル)では、サステナビリティ・イニシアチブ(持続可能性への取り組み)を掲げており、環境・健康・安全(EHS)を水資源や廃棄物、人権、気候変動、エネルギーと並ぶ重要課題として位置づけ、世界各地域の企業連携を支援しています(図2)。

EHS関連では、欧州・米国・アジアを中心に業界専門家によるワーキンググループ/ 会議体を組織し、約300社のSEMI会員企業が参画しています。地域固有の規制に対する情報共有と課題解決を支援するとともに、煩雑、不適切、非現実的な規制の制定・施行を抑制し、規制が意図する課題に対する実効的な技術的解決策を規制当局と協議のうえで提示することで、SEMI会員企業の負担軽減に努めています。
 

図2 SEMI Sustainability Initiative

図2 SEMIのSustainability Initiativeの活動

 

ICRC、規制の最新情報を共有し、対処しやすい環境を整備

一方、SEMIジャパンでは、国際規制適合委員会(International Compliance and Regulatory Committee:ICRC)を設置し、国内外のEHS規制動向情報の共有や、対処に向けた業界ニーズの集約、各国規制対応に役立つツールの提供などの活動を行っています。ICRCの下には、①化学物質規制動向、②エネルギー・資源効率化規制動向をキャッチして共有する2つのワーキンググループがあり、近年の規制強化を背景に参画企業が増加しています。

ICRCの検討項目となっている規制は多岐にわたり(図3)、規制ごとに製品への影響度や改訂頻度が異なります。なかでも化学物質規制は、禁止・制限物質が継続的に増えるためハイリスク領域であり、常時の動向監視が不可欠です。ICRCでは、企業単独では判断しにくい重要度の違いを踏まえ、最新情報のタイムリーな共有と最適な対処の支援を行っています。
 

図3 ICRCでの代表的な検討項目

図3 ICRCでの代表的な検討項目

 

上述のとおり、SEMIグローバルのEHSワーキンググループでは、各社の規制対応に伴う様々な影響を軽減するためのアドボカシー活動を展開しています。規制遵守には相応のコストが伴う一方、それを容易に価格転嫁できない現実があるため、サプライチェーン上で顕在化しうる技術的・経済的・時間的課題に関するエビデンスを整え、影響最小化に向けて規制当局と建設的に協議する活動を継続しています。例えば、一般に工業製品の生産でのPFAS使用には厳しい規制が課せられますが、半導体産業ではPFASの代替が困難な領域が存在するため、「essential use(必要不可欠な用途)」の適切な解釈・適用や、代替のための合理的な猶予期間の設定を求める取り組みを進めています。ICRCメンバーはこれら各種EHSワーキンググループに参加して日本企業の視点を共有しつつ、カウンターパートとなる北米ICRCとの相互連携しながら活動しています。 

 

PFAS・ESPR・インド規制などの最新情報を共有する「国際EHS規制適合セミナー」

ICRCは、毎年のSEMICON Japanに合わせて「国際EHS規制適合セミナー」を開催し、その時々のホットな規制動向を取り上げて業界に提供しています。SEMICON Japan 2025(12月17日~19日、東京ビッグサイト)では、初日の12月17日(水)に、会議棟7階703およびオンラインにて開催します。

今回は、ICRCの活動状況やSEMIグローバルのアドボカシー活動の近況を報告します。2025年には、PFASやF-Gas、包装材に関する規則などにおいて動きがありました。米国の有害物質規制法(Toxic Substances Control Act:TSCA)などに対する意見提出の取り組みも紹介します。

さらに、欧州・米国・アジアにおけるPFAS規制の最新動向や、EUの持続可能な製品のためのエコデザイン規則(Ecodesign for Sustainable Products Regulation:ESPR)についての動きを、背景情報を交えて解説します。ESPRに関しては、欧州日系ビジネス協議会(JBCE)より、欧州全体の最新動向に加え、リサイクルや有害物質規制を含む広範な内容を取り上げます。

加えて、インドにおける環境法規制の潮流も扱います。法規制は存在するものの、内容の不明確さや細則の未整備など対処に苦慮する部分が残っており、自国産業保護と品質基準のギャップ、複雑な認証手続きや予期せぬコスト、中国製品の認証取得の難しさなど、具体的な論点も整理します。

また、今回初めて、規制対応やサプライチェーン影響を議論する30分のパネルディスカッションを設け、材料・部品・装置など各立場の課題と取り組みを共有します。EHS規制の遵守は、半導体産業でビジネスを営むうえで、いかなる企業も避けて通れない課題です。本セミナーを通じて、業界で共有すべき実践的な「勘どころ」を知ることができそうです。

(取材協力:ICRC共同委員長 鶴 元浩氏(東京エレクトロン)へのインタビュー内容を反映)

ICRC


国際EHS規制適合セミナー

2025/12/17(水) | 13:00 - 17:00
会議棟7階 703 および オンライン(Zoom)

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