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2024年12月12日(金)

半導体産業が抱える課題解決を目指す「SEMIスタンダード」

株式会社エンライト 伊藤 元昭
 

高度な先端技術を用いて社会に貢献する価値あるチップを生み出している半導体産業は、技術とビジネス両面での多くの新たな課題を常に抱えています。各企業は、その解決に向けて日々挑み続けています。ですが、なかには個社では解決困難な課題、場合によっては競合企業とも協力して取り組んだ方が、効果的かつ効率的な解決策が得られる課題も多く存在します。そうした非競争領域での課題に取り組む際には、競合企業同士であっても協力していくためのルールと基準を合意しておく必要があります。

また、半導体産業では、専門性の異なる多様な業界・業種の企業がサプライチェーンやエコシステムを構築し、相互連携しながら高度なチップを作り上げています。そこで顕在化してくる解決すべき課題の中には、各社が専門性の枠を超えて対応していくべきものが多くあります。ですが、専門性が異なる企業同士が、一丸となって協業していくことはそれほど簡単ではありません。課題の重要性や解決に向けた要所に関する相互理解が、専門性が異なるがゆえに深まりにくいからです。このため多様な業界・業種の企業間が連携して課題解決に当たる際には、各企業間で、課題解決を目指す意義と解決に向けた施策の要衝を共有し、いかなるルールと基準を共有して技術開発やビジネスを行ったらよいのか合意しておく必要があります。


図1 半導体業界には、業界内の企業間で合意・共有すべき非競争領域や異分野連携領域の課題が数多くある
出所:AdobeStock

 

半導体技術と製造体制の高度化と複雑化がますます進でいく中で、解決に取り組むべき課題が数多く生まれています。そうした中には、技術やビジネスのルールや基準を標準化し、業界内の企業間で合意・共有すべき非競争領域や異分野連携領域の課題も数多くあります(図1)。後工程の重要性が高まったことで技術の進歩が顕著な「先端パッケージング」、工場のスマート化に伴って重要性が増している「サイバーセキュリティ」、需要に応じた供給を実現する安定かつ強靭な「サプライチェーン」、チップ製造での基盤となる「重要材料」、地球環境保全に向けた社会的責任を果たすための「サステナブルな製造」などでは、その代表例です。

 

業界内で自主的に合意した国際的技術標準規格「SEMIスタンダード」

SEMIでは、半導体産業のさらなる発展を目指して、業界内で自主的に合意した国際的技術標準規格「SEMIスタンダード」を策定しています。最新の技術動向や安全要件などに追随した標準を策定・更新することで、変化の激しい業界での企業活動を支援します。製造装置の自動化やトレーサビリティー、パッケージング、安全ガイドラインなど広範な技術領域をカバーし、製造プロセスの効率化、品質・安全性の向上、互換性の確保、グローバルな競争力の強化に資する標準を整備しています(図2)。

図2


図2 広範な技術領域の標準を整備
出所:SEMI

 

SEMIスタンダードの取り組みは、エンドユーザー、サプライヤー、研究機関、政府機関など、すべての関係者にオープンな活動である点が特徴です。SEMIスタンダード規約に従って、委員会の決議と電子投票を通じて策定される合意をベースとして標準化活動が進められています。

 

SEMICON Japan 2024で「SEMIグローバルスタンダードサミット」を初開催

2024年12月11日(水)から東京ビッグサイトで開催される「SEMICON Japan 2024」の会期中には、国際会議棟7階 会議室で、SEMI日本地区技術委員会会議と多数のタスクフォース会議が開催されます。開催される会議のテーマは、「Compound Semiconductor Materials」「Environmental, Health, and Safety」「Information & Control」「Liquid Chemicals」「Metrics」「Physical Interfaces & Carriers」「Silicon Wafer」です。会議への参加にはSEMIスタンダード委員「プログラムメンバー」への登録する必要がありますが、所定のフォームに記入すれば無料登録できます。

また、会期2日目の12月12日(木)には、会議棟 606会議室にて、3年後、7年後を見据えた業界標準化戦略を議論する「SEMIグローバルスタンダードサミット 未来を創る!次世代半導体生産に必要な業界標準とは?」が初めて開催されます(図3)。ここでは、半導体業界の未来を形作る重要かつ分野横断的な3つのトピックにフォーカスし、業界のリーダーと共に、最前線での知見を共有し、戦略的な連携の強化に向けた取り組みについて議論します。

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図3 3年後、7年後を見据えた業界標準化戦略を議論する「SEMIグローバルスタンダードサミット」を初開催
出所:SEMI Japan

 

トピック1は、「次世代工場におけるスマートマニュファクチャリング」です。製造環境全体の効率とスループットの改善に向けて、デジタルツイン、予知保全、AI/MLを利用する製造現場が増えています。そして、サイバーセキュリティのリスクに対処しながら、多様な高度分析システムの連携と相互運用を支援し、工場の生産性向上を支援するための標準が必要になっています。ここでは、生成AIを利用した自律型工場に導入される技術などを例にして、次世代工場でのデータやプロトコルの標準化の重要性などについて議論します。

トピック2は、「パッケージング設計と材料」です。前工程での技術限界が見え隠れする現在、ウエハーから最終電子・電気機器にいたる統合設計の中でのパッケージングの役割の重要性が高まっています。そして、この領域の技術が多面的に進化しています。さらに今後、新しい材料やプロセスの開発・実用化が進むことも確実です。ここでは、これからのパッケージングにおける標準化の役割と重要性について議論します。 

トピック3は、「環境サステナビリティ」です。半導体業界には、環境保全に対する貢献の定量化が求められています。しかし現時点では、CO2の排出量や製造・製品中の有害物質の有無など、環境負荷の測定・算定方法が、業界全体で統一されていません。半導体業界がこの分野でより良い舵取りをするためには、一貫した一連の標準の存在が不可欠です。になります。ここでは、こうした環境対策の効果測定などに関わる標準について議論します。

さらに、今回のSEMIグローバルスタンダードサミットでは、各トピックの講演者が一同に会するパネルセッションも用意しています。次世代の工場、パッケージング設計と材料、環境サステナビリティは、相互依存関係にあることも多くあります。分野横断的なトピックを模索し、これらの複雑な課題解決に標準化がどのように役立つかを議論します。

 

FHEにフォーカスした技術委員会も開催

さらに、会期1日目の12月11日(水)には、東5ホール内ステージで、Flexible Hybrid Electronics(FHE)分野でのSEMIスタンダードと国際標準の動向を紹介する「Flexible Hybrid Electronics技術委員会」が開催されます。ここでは、手触り感の測定方法に関する世界初の規格として発行された、ウェアラブル機器の肌触り評価や将来の触感通信への適用が可能な「SEMI FH4」について紹介します。

半導体業界の未来を支える技術標準策定に向けた議論に、参加してみてはいかがでしょうか。

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