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2023年11月1日(水)

半導体再興に並走し続ける「SEMICON Japan」、半導体戦略に沿って繰り出される次の一手は?

株式会社エンライト 伊藤 元昭

 

「日本国内に最先端の半導体製造ラインを!」。日本政府が2021年6月に策定した「半導体・デジタル産業戦略(いわゆる半導体戦略)」の下で進められている国内半導体産業再興の取り組みが、ますます熱を帯びてきました。そして、そうした思いを具現化するRapidus(ラピダス)の工場が、2023年9月1日に着工されました(図1)。

図1


図1 Rapidusが北海道千歳市内に建設している半導体工場のイメージ図
出所:Rapidus

 

半導体不足対策や経済安全保障、そして国内のあらゆる産業の競争力向上の観点から、政府が打ち出した半導体戦略は、過去の失敗や足かせになっていた国内事情を直視し、日本経済が凋落していく危機感を前面に押し出した画期的なものでした。その取り組みは、「古き良き日をもう一度」というノスタルジックな感情で動くものではありません。最先端の半導体チップを開発・製造する、まったく新規の産業を創生する挑戦です。

2023年12月13~15日、東京ビッグサイトにて「SEMICON Japan 2023」が開催されます。会期初日15日に東2ホール SuperTHEATERで開催されるオープニングキーノートでは、衆議院議員 半導体戦略推進議員連盟 会長の甘利 明氏、Rapidus取締役会長の東 哲郎氏、SEMI President & CEOのAjit Manocha氏が登壇。日本での半導体産業の再興を目指す取り組みにおける、国際連携の重要性や次世代半導体製造技術の共同開発、そうした中で日本の半導体産業が取るべき戦略などについて議論します。生成AIのような新たな半導体アプリケーションが台頭し、2030年には世界の半導体市場の規模は1兆米ドルにまで達すると予測されています。短期間で市場規模を2倍近くまで拡大させる計算です。12月15日に開催されるグランドフィナーレパネルでは、日本政府、半導体製造業界、半導体アプリケーション業界を代表するビジョナリーが登壇し、1兆米ドル市場を目指すために乗り越えるべき課題と実現に向けた提言を発信します。

 

日本の半導体産業に常に寄り添う「SEMICON Japan」

これまで「SEMICON Japan」は、半導体戦略が策定される以前から寄り添い、日本での半導体産業の再興を見据えた最新の状況認識と取り組みの経過、さらには次に向けた展望を常に発信し続けてきました。

コロナ禍の中で、2020年12月にバーチャル展示会として開催された「SEMICON Japan Virtual」のオープニングパネルでは、「産官学の力を結集して、日本の半導体産業を再創業」と題して、政界を代表して国際通商に精通する甘利氏、学会を代表して東京大学の五神真総長(当時)、産業界を代表して東京エレクトロン元会長・社長(当時)だった東氏が集い、デジタル化によって開く未来と、そのために解決すべき諸課題について議論。そこでは「半導体は産業のコメであり、そこが経済産業政策の核。資源もない国土も狭い日本では、知恵によって、ゼロから価値を生み出す政策が何よりも大切」という認識を共有。国内に世界の半導体をリードする再興に貢献できる人材が存在し、後は求心力を生み出す仕組みと半導体産業を再興する際の受け皿が必要であることを再確認しました。

翌2021年には、政府から求心力を生み出すための半導体戦略が打ち出され、政府主導での台湾TSMC誘致に誰もが驚く中で開催された「SEMICON Japan 2021 Hybrid」では、「グローバル半導体産業における日本の国家戦略」と題したオープニングキーノートに、甘利氏と経済産業省 商務情報政策局 審議官(IT戦略担当)(当時)の藤田清太郎氏が登壇。半導体戦略の意図とインパクト、過去とのアプローチの違い、TSMC誘致の狙い、展望などを広く明らかにしました。さらに、「グローバル半導体産業の持続的発展への課題と提言2.0」グランドフィナーレパネルでは、後にRapidus(ラピダス)の社長に就任することになるウエスタンデジタルジャパン プレジデント(当時)の小池淳義氏がパネリストの1人として登壇。日本の半導体産業が世界の中でリーダーシップを発揮できるようになるための課題を具体的に指摘し、これから取り組むべきことを提言しました。

その後、2022年8月に、それまで国内企業がタッチしていなかった2nm以降の最先端半導体チップの製造を担う受け皿企業となるRapidusが設立されました。それを受けて2022年12月に開催された「SEMICON Japan 2022」では、開会式に岸田文雄首相が来場。「攻めの国内投資拡大を支援していく」という半導体産業再興にかける政府の決意を力強く述べました(図2)。そして、「グローバルリーダーを目指す産官学戦略」と題したオープニングキーノートパネルには、甘利氏、国内外の大学・研究機関の取り組みを取りまとめて最先端半導体製造技術の確立を推し進める「技術研究組合最先端半導体技術センター(Leading-edge Semiconductor Technology Center:LSTC)」の理事長 兼 Rapidus取締役会長として半導体戦略の実行者となった東氏、Rapidus社長に就任した小池氏は、LSTCにアカデミア代表として参画する五神氏、さらには日本が推し進める2nm以降の製造技術開発で協業する米IBM Senior Vice PresidentのDarío Gil氏など、キーマンが一同に会し、半導体産業で日本が再び世界をリードすることの意義、必然性について改めて強調。それぞれの役割と見地から、その時点で見えてきた課題と、解決に向けた方策について議論しました。
 

図3


図2 SEMICON Japan 2022の開会式とオープニングキーノートパネルの様子
出所:筆者が撮影

 

半導体戦略の第1・第2ステップは始動、動き出してわかった課題と今後の一手

半導体戦略は、第1ステップ「半導体生産基盤の緊急強化」、第2ステップ「次世代半導体技術基盤の確立」、第3ステップ「将来技術基盤の実現」の3ステップで進められています。現在は、第1、第2ステップの全貌が見え、既に具体的な事業が開始された段階だと言えます。情報収集と議論を尽くして策定された半導体戦略ではありますが、国際情勢や経済状況、市場トレンドの変化、さらには実際に動き出してからでないとわからない課題、気づかなかった事業機会なども出てきます。経済産業省は、こうした状況変化に迅速に対応すべく、逐次、半導体戦略を改定していく方向です。

既に、国内半導体産業の関係者からは、「半導体産業を支えるために必要な人材は国内で確保・育成できるのか」、「現在の技術開発体制で2nm以降の製造技術を手中にできるのか」、「立ち上げる最先端の半導体製造ラインは国内外の半導体ニーズに応えるものになるのか」、「立ち上げた後のRapidusのビジネスは持続可能なものになるのか」といったさまざまな疑問・要望が出てきています。

「つかめ、未来を。つくれ、時代を。」をテーマに開催されるSEMICON Japan 2023のセミナーや展示会、その他多様なイベントは、こうした疑問をぶつけ、将来の日本の半導体産業が向かう方向を確認し、その中で自らのビジネスチャンスと役割を発見できる絶好の機会になることでしょう。会場に足を運び、未来と時代を実際に目で見て、耳で聞いて、肌で感じてみてはいかがでしょうか。

 

関連セミナー

SuperTHEATER

オープニングセレモニー & キーノート
つかめ、未来を。つくれ、時代を。

日時:2023年12月13日 (水) 10:10 - 12:00
会場:東京ビッグサイト 東2ホール SuperTHEATER
参加費:無料

パネリスト:
甘利 明 氏
自由民主党 衆議院議員
自民党 経済安全保障推進本部 本部長
半導体戦略推進議員連盟 会長

東 哲郎 氏
Rapidus
取締役会長

Ajit Manocha
SEMI
President & CEO

モデレーター:
浜島 雅彦
SEMIジャパン
代表