2022年11月10日(木)
半導体技術とビジネスの最新動向を網羅収集できるSTS 2022
株式会社エンライト 伊藤 元昭
日本が取り組む半導体デバイスの製造ビジネスの再興の最大の課題は、最先端技術をキャッチアップするための人材育成です。
もちろん、製造装置・材料の分野に関しては、世界の半導体業界を技術開発とビジネスの両面でリードする企業が数多くあります。また、メモリーやイメージセンサー、パワー半導体などの領域では、競争力の高いデバイスを生産する能力を維持しています。ですが、高度な情報機器や電気・電子機器の開発・製造に不可欠なロジックデバイスに関しては、最先端技術での製造が途絶えてから久しい状況です。最先端の製造装置と材料を集めるだけでは、最先端半導体デバイスを作ることはできません(図1)。
図1 最先端の半導体製造ライン
出所:TSMC
分野横断的な知識を得て、課題解決のヒントを得る
2022年12月14日から16日にかけて東京ビッグサイトで開催されるSEMICON Japan 2022では、最新半導体製造の国際シンポジウム「SEMIテクノロジーシンポジウム(STS)」が、会場内の会議棟およびZoomのライブ配信で開催されます。1982年に創設されて以来、今回で42回目となるSTSは、SEMICON Japan最大規模のフラッグシップカンファレンスです。その時々の最もホットな話題を集め、半導体デバイスの開発・製造に関わる多様な技術分野それぞれの最新動向を網羅。各分野の第一線で活躍する国内外の技術者や有識者が技術動向、実用化の動き、市場の見通しなどを語ります。
STS 2022 プログラム委員長を務めるソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社の岩元勇人氏は、「近年、半導体産業を取り巻く環境は、技術面でもビジネス面でも激変しています。特に、これから半導体デバイスを製造するビジネスの再興を目指す日本の企業においては、半導体産業の最新動向を広い視野から俯瞰して、技術開発やビジネス創出に取り組める人材を育成する必要があります」と言います。
そして、岩元委員長は、半導体産業のあらゆる企業が留意すべき新たな2つの動きを指摘しています。
「1つ目は、世界中の各国や地域で地政学的リスクが顕在化し、半導体が経済安全保障上や自国産業競争力の強化・維持に向けた戦略物資になったことです。日本国内で消費する半導体デバイスを自国内できちんと確保できる体制が求められています。日本政府は、『半導体・デジタル産業戦略(いわゆる半導体戦略)』を策定・実践。この戦略を完遂するためには、半導体デバイス製造に関わる技術・ビジネスに携わる優秀な人材を段階的に育成していく必要があります。さらに現在、地政学リスクの顕在化によって、グローバル規模で密につながっていた半導体のサプライチェーンが分断される可能性が出てきただけでなく、技術やナレッジがフラグメント(個片)化する懸念が出てきています。意識的に視野を広げて情報収集することを心掛けないと、世界の動きと自国や自社のポジションが見えにくい状況になりかねません」(岩元委員長)
特に、現状の40nm世代以降、ビジネス適用することを見据えた最先端微細化技術の開発をしていない状態で、2nm以降の世代の技術開発に挑む日本では、世代のギャップを埋めながら、製造技術に関する最新の動きを網羅的かつ体系的に知る必要が出てきます。
「注目すべき動向の2つ目は、チップレット技術の重要性が、半導体技術の進化とビジネスの成長の両面で急激に高まっていることです。前工程と後工程の境がなくなり、両者の工程の融合・再定義が始まっています。最先端の微細加工技術を用いた半導体デバイスを開発・製造するため、さらには多様な回路を集積した高付加価値なチップを生み出すためには、チップレットに関する最新知識を得ると共に、前工程と後工程を通観した技術トレンドを知る必要が出てきています」(岩元委員長)。
3日間で最新情報を網羅的に把握できる貴重な場
最先端の技術トレンドとビジネス環境を網羅的かつ体系的に知る場として、STSはまさに最適な機会となることでしょう。「今回のSTSでは、3日間通して聴講することで、世界最先端の動きを網羅的かつ体系的に知ることができるプログラムを用意しました。さらには日本の半導体産業を担う若い世代の育成という観点から、日本の半導体産業の活性化に貢献できるものになると考えています」(岩元委員長)
図2 STSの会場とセッションスケジュール
今回のSTSは、「先端材料・分析」「先端デバイス・プロセス」「先端リソグラフィ」「パワーデバイス」「MEMS/SMARTセンシングデバイス」「パッケージング」「テスト」、そして今年を代表する動きにフォーカスした「特別セッション」の8セッション、25講演で構成(図2)。半導体製造に関わる要素技術を網羅しています。個々のセッションを聴講すれば、世界最高、最新の専門情報が得られますが、技術面とビジネス面で大きな変化が起きていることを鑑みて、ぜひ各セッションをすべて聴講し、横断的な情報を得ることをお勧めします。現在の半導体業界を俯瞰した動きと近未来の行方を知ることができることでしょう。
特別セッション「プロセス/マテリアルインフォマティックス」では、データサイエンス技術を活用した、新たなエンジニアリングと技術開発手法の実践状況を解説します。半導体の製造プロセスは、技術の進歩と共に高度化と複雑化。歩留りや生産性を高水準に維持することが難しくなってきています。製造に用いる材料もまた、デバイスやプロセスの進歩に合わせて、際立った特徴を持つ物質を迅速に開発することが求められています。こうした課題に応えるのが、今回の特別セッションのテーマとなるプロセス/マテリアルインフォマティックスです。
パッケージングのセッションでは、チップレットをはじめとする、最新の後工程技術、パッケージ技術の開発状況や市場動向について、大学の研究者、アナリスト、先端基板メーカーのエンジニアが解説します。先端デバイス・プロセスのセッションでは、ロジック、メモリー、イメージセンサーの最先端デバイス技術を解説します。これらのデバイスの製造に用いる製造装置や材料を開発しているエンジニアにとっても、今後の行方を考えるうえでのヒントが得られるのではないでしょうか。日本企業が強い分野であるパワーデバイスのセッションでは、電気自動車(EV)の開発・普及と歩調を合わせて本格的な普及が始まる、SiCやGaNなど新材料をベースにしたパワーデバイスの技術開発と応用開発の最新動向を紹介します。
STSでは、各セッションにオーサーズインタビューの時間を設けています。ここでは、普段の技術開発の中では知ることができない、担当分野外の専門家の意見を聞けます。また、15日と16日のセッション終了後には、聴講者同士も交流できる立食イベント「GETOGETHER」も用意しています。分野の枠を超えた人的ネットワークを構築するための絶好の機会となります。
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日時:2022年12月14日(水)- 16日(金)10:00-11:30 / 12:30-14:00 / 15:00-16:30
会場:東京ビッグサイト 会議棟607+608 および オンライン(Zoom)
参加費:
1セッションにつき
SEMI会員 6,600円(税込)※12月9日(金)までの事前予約割引価格、以降は一般価格
一般 13,200円(税込)
講演資料、Zoom視聴URLつき
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日時:12月15日(木)、16(金)17:00〜18:00
会場:会議棟 8階 アルポルト
入場には来場バッジをご持参ください。事前登録は不要です。