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2025年12月4日(木)

半導体材料での非競争領域の課題を議論する専門会議、「SMC Japan」を日本で初開催

株式会社エンライト 伊藤 元昭
 

戦略物資と呼ばれるようになって久しい半導体――。必要とされる時に、求められる場所へ、要求されるチップを不足なく製造するためには、公正・円滑・効率的な半導体サプライチェーンの構築と運用が必須になります。その半導体サプライチェーンの起点となる、最も川上に位置しているのが半導体材料メーカーです。適切に材料を供給する体制無くして、社会の要請に応える半導体の製造は不可能だと言えるでしょう。

※本記事は、EMG Japan委員会委員長 花村 政暁氏(JSR)、委員長 池内 孝敏 氏(レゾナック)、副委員長 下木 有生氏(Qnity)へのインタビュー内容を踏まえ編集しています。

 

多様化・深刻化が進む非競争領域での課題に取り組むEMG

チップ構造や製造プロセスの進化に伴って、半導体材料には、より高度な技術が求められるようになりました。最先端材料の開発・供給を競って、多くの材料メーカーが熾烈な競争を展開。半導体産業の高い成長性を見込んで、他業種からの参入も活発になってきています。

その一方で、近年、どんなに高い技術力、強い資本力があっても、個々の材料メーカーの自助努力だけでは対応できない課題が複数顕在化してきています。その代表例として、半導体サプライチェーン全体(スコープ3の観点)での脱炭素化、循環型社会への対応、PFAS(有機フッ素化合物)をはじめとする各種環境規制への対応、地政学的リスクや非常事態の発生を念頭に置いた強靭・安定的なサプライチェーンの確立などが挙がります。材料メーカー各社にとって、これらの課題は「非競争領域」の課題であり、その対処にはメーカー間の壁を超えた協力が不可欠になってきます。さらに、データやAIの活用に基づく新材料開発の新たなパラダイムである“マテリアルズインフォマティックス”に向けたインフラ作りのような、日本の材料開発技術の底上げなどの課題も浮上してきています。
 

 図1 半導体材料での非競争領域の課題に取り組む場となるEMGの組織図


図1 半導体材料での非競争領域の課題に取り組む場となるEMGの組織図

 

半導体材料に関連したビジネスを営む企業が、これらの非競争領域の課題の解決・対処に向けて共に取り組む場として設置されたSEMIの技術委員会がEMG(Electronic Materials Group)です(図1)。全世界で約100社が参画。米国、日本、韓国、欧州、台湾にそれぞれ委員会が設置され、それぞれの地域で企業の壁を超えて取り組むべき課題を共有し、解決・対処に向けて議論しています。参画企業が扱う材料は、半導体デバイスの製造で使用される基板、ポリマー、金属、有機および無機材料、化学品、ガスなど多岐にわたり、その開発・生産、販売、輸送、生産設備の供給など多様な役割を担う企業が参集しており、課題の共有・把握・理解に向けた勉強会の開催や、各地域で開催されるSEMICONでのセミナーの企画・実行、年間ウェビナーの企画・実行といった活動を行っています。

 

材料領域で大きな存在感を放つ日本、EMGで密に意思疎通・相互理解

世界の半導体産業の中で、特に多くの材料メーカーが集中している地域が日本です。シリコン基板やフォトレジスト、CMPスラリー、成膜材料などのように、日本企業が世界の技術開発をリードし、世界シェアが過半を占める材料が数多く存在します。世界の半導体材料の供給において、日本企業が担う責任は極めて大きく、日本企業による非競争領域の課題に対する取り組みは、世界の半導体サプライチェーンに多大な影響を及ぼす状況だと言えます。

非競争領域での課題の多様化と深刻化、さらには急成長し続ける半導体産業に新規参入する企業の増加を背景として、EMG Japanの会員数は着実に増加しています(図2)。2025年10月時点で37社が参加しており、設置以来離脱した企業はありません。
 

図2 日本におけるEMGの参加企業数の推移

図2 日本におけるEMGの参加企業数の推移

 

EMG Japanは、他地域にくらべて企業間での密な意思疎通・相互理解を重視している点が特徴です。3カ月に一度、40~50名のメンバーが会員企業の会議室などに集まり、取り組みテーマに沿った専門家や有識者を招いた勉強会や意見交換を行っています(図3)。加えて、勉強会などの後には必ず懇親会を開催し、相互理解を深めるネットワーキングを図る機会を設けています。また、2024年にはSEMI Taiwanと合同で「日台合同EMG委員会」を開催するなど、他地域のSMGとの国際的交流も行っています。
 

図4 2024年のEMG Japanの活動


図3 2024年のEMG Japanの活動

 

半導体材料メーカーの集積地である日本でSMC Japan 2025を初開催

EMG Japanは、2025年12月17日(水)~19日(金)に東京ビッグサイトで開催されるSEMICON Japan 2025の開催に併せて、半導体材料が直面する課題を集中的に議論する「SMC(Strategic Materials Conference)Japan 2025」を企画しました。会期はSEMICON Japan 2025開幕の前日12月16日(火)、会議棟TechSTAGE FUJIおよびオンラインにて開催します。参加費は、SEMI会員は3万円(税抜き)、一般は6万円、学生は5000円です(ランチとネットワーキングディナーをご用意しています)。

SMCは、これまで米国、韓国、台湾において開催実績がありました。しかし、日本では今回のSMC Japan 2025が初めての開催となります。「日本国内において先端半導体デバイスの生産体制強化が進展し、日本の材料メーカー各社間でのさらに深い課題共有とより適切・円滑な解決・対処の後押しを目的として2025年から日本でも開催することになりました」と花村氏は初開催に至った意図を述べています。日本でSMCを開催することによって、これまで密度の濃い連携をしてきた日本のEMGの活動を、国際的視点からも、業界横断的視点からもオープン化します。加えて、これまでの会員企業だけを対象にしたEMGの勉強会には招けないようなスピーカーの見解を共有していきます。

SMC Japan 2025は、材料サプライヤーとユーザーである半導体メーカーの双方が業界動向について議論できるロジックとメモリーの両方のトピックスをバランスよく取り入れたプログラム構成となっています。基調講演や材料企業によるプレゼンテーションを通じて、業界の包括的な洞察を提供します。さらに、材料需給の観点から見た半導体市場の展望に関する情報も得られます。

 

ユーザーである半導体メーカー、材料開発の新時代を支えるIT企業が未来を展望

ここからは、SMC Japan 2025で用意している多くの講演の中から、材料のユーザーである半導体メーカーやマテリアルズインフォマティックスの情報基盤となるクラウドサービスを提供するIT企業、半導体材料の世界市場を俯瞰するアナリストによるキーノートの概要を紹介します。

まず、J. P. Morgan Executive DirectorのAngela Wu氏とCeline Geng氏が、「China Semiconductor Evoluation and AI Breakthroughs」と題して、輸出規制の中で独自の技術開発の道を歩み始めている中国のAI関連企業と半導体産業の最新動向を解説します。欧米や日本・韓国・台湾とは異なる技術のトレンド、進化軸の行方を読み解き、その動きが材料の技術・ビジネスに与える影響を示唆します。

また、Rapidusエンジニアリングセンター 第3技術部 ディレクターの新井紳太郎氏は、「先端半導体を支える材料技術(仮)」と題して、同社の技術開発および量産化の取り組みの中での半導体材料の役割について解説します。次世代デバイス実現に不可欠な材料に関して、 (1) 2nm/1.4nm世代の先端半導体に要求される材料技術 、(2) 開発のボトルネックとなりつつある材料課題とその解決に向けた方向性、 (3) Rapidusと材料サプライヤーによる共創的アプローチ、 (4) サステナビリティ実現に向けた取り組みと展望について語ります。

キオクシア 先端メモリ開発センター センター長の梶本実利氏は、「BiCS FLASH™ 技術動向と材料の展望」と題して、AIの高度化とその活用拡大に対応する同社の最新フラッシュメモリー技術を解説します。高性能、大容量、低消費電力など多様化するストレージニーズに対応する競争優位性の高い技術であり、その製造で用いるデバイス性能由来の材料に対する期待など、その展望を語ります。

アマゾン ウェブ サービス ジャパン ハイテク&ヘルスケア・ライフサイエンス部 シニアソリューションアーキテクトの酒井 賢氏は、「半導体材料イノベーションを加速するクラウド活用」と題して、生成AIやクラウドをフル活用することで生まれる半導体材料の研究開発のブレークスルーを解説します。クラウドの柔軟性と拡張性、そして生成AIを組み合わせることで実現する、コスト効率の高い研究開発環境の実現方法についての実践的知見を、具体的ソリューション事例を交えながら紹介します。

SMC Japan 2025では、半導体材料の応用市場、技術開発、供給体制に関する最新情報を体系的に収集できる絶好の機会を提供いたします。半導体材料の関係者はもとより、ユーザー企業や新規参入を検討している方々にとっても得難い情報収集の場になりそうです。

 Strategic Materials Conference Japan


Strategic Materials Conference Japan 2025

2025/12/16(火) | 09:00 - 18:00
TechSTAGE FUJI (会議棟607-608) および Online (Zoom)

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