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2022年10月27日(木)

社会課題解決に向けたキーテクノロジーの情報が集まる、FLEX Japan 2022

株式会社エンライト 伊藤 元昭

 

先進国、とりわけ日本は、社会の成熟に付随した多くの課題に直面しています。少子高齢化や社会インフラの老朽化、環境汚染、生活者の価値観の多様化などはその代表的な課題です。そして、それらの課題を解決するためには、これまでとは発想が異なるアプローチから生み出した科学技術が必要になりそうです。

産業革命以来、私たちは、高性能で高品質な製品を安く大量生産するための技術を発展させ続けることで、便利で豊かな社会を実現してきました。優れた工業製品を次々と生み出し、社会に提供していけば、社会は成長・発展できたからです。ところが、現在顕在化してきている社会課題は、こうした製造業の王道による大量生産・大量消費を続けていたのでは解決できそうもありません。

 

人やモノの状態や動きを、つぶさに把握できる情報収集の仕組み

いま、社会に供給した工業製品の行方と利用状況を追跡・監視できる仕組み、さらには一人ひとりの生活者の健康状態や活動状況を正確に把握するための、新しい情報収集の仕組みが求められています(図1)。

例えば、少子高齢化が進むことで、社会保障制度を利用する人の数が、制度を支える人の数を大きく上回り、効果的かつ効率的な医療サービスを提供しないと制度自体が破綻する可能性が出てきます。解決に向けて、一人ひとり異なる健康状態や体質、生活習慣などを精緻に把握することで、病状が軽微なうちに対処したり、本当に必要なところに絞って効果的医療サービスを提供したりする工夫が求められています。

 

図1


図1 社会課題の解決に向けて、人やモノの状態や動きを知る仕組みが求められている
出典:AdobeStock

 

また、道路や橋梁、電力網など社会インフラのメンテナンスも同様です。日本の高度経済成長期に整備された高速道路や橋梁などの多くは、既に建設されてから60年以上経過しています。同じく鉄骨鉄筋コンクリートの建造物であるビルの税法上の耐用年数50年をはるかに超えている状態です。しかし、耐用年数を過ぎたからといって、すべてを建設し直すことはできません。個々の設備の老朽化の度合いを、利用履歴や設置環境などを勘案しながら把握し、本当に補修・改築が必要な場所を洗い出して、集中対処する工夫が必要になります。

さらに、資源の有効利用や地球環境の保全に向けて不可欠になる循環型経済(サーキュラー・エコノミー)の実現には、市場投入後の製品の行方や使用履歴を明確に把握するための仕組みが不可欠になってきます。まだ利用できるものを無駄に破棄しない「リデュース」、不要になったが再利用できる製品の使い先を考える「リユース」、新しい製品を生み出すための資源に戻す「リサイクル」と、状態に応じた再利用を考える必要があるからです。

 

社会課題の解決に向けたキーテクノロジー、FHEの専門国際カンファレンス

人の状態や活動状況、さらには市場投入した後の工業製品や稼働中の社会インフラの状態を把握するため、技術開発の進展とその利用拡大に大きな期待がかかっているのが「フレキシブル・ハイブリッド・エレクトロニクス(FHE)」です(図2)。FHEとは、フレキシブルな基板材料や繊維の上に回路パターンや半導体素子を形成し、そこに半導体チップやMEMSなどの小型・軽量な電子デバイスを組み合わせることで、柔軟な電子回路を構成する技術のことを指します。軽く、薄く、曲がる電子回路を作ることで、人が身に着けても違和感のないウェアラブル・デバイスや、設置場所を選ばず取り付けられるloTデバイスなどを実現。人やモノから、リアルタイムでの情報収集を可能にします。

 

図2


図2 フレキシブルな材料をベースにして、人やモノとの親和性の高いデバイス実現するFHE
出典:AdobeStock

 

SEMIジャパンは、2022年12月14日から16日にかけて、東京ビッグサイトで開催する「SEMICON Japan 2022」と同時開催にて「FLEX Japan 2022」を開催致します。展示におきましては、東1ホールのFLEXパビリオンにてFHEの最新要素技術やデバイス特性を生かしたアプリケーションなど、数々の展示が集結します。

また、12月14日の13時30分から、会議棟 605と606にて、FHE分野の有識者や第一線の技術者を講師に迎えたカンファレンス「フレキシブルデバイスの社会実装」を開催します。

そこでは、メルティンMMI 代表取締役の粕谷 昌弘氏が、「サイバー・フィジカル融合によるサイボーグ技術の可能性」と題して、サイバー・フィジカル・システム(CPS)にとって重要な技術となる可能性を秘めるサイボーグ技術と、その実現に向けた同社の2つのコア技術、さらには事業化の取り組みについて語ります。また、バイクリスタル 取締役CTO 東京大学大学院新領域創成科学研究科 教授の竹谷 純一氏は、「有機半導体センサーネットワーク」と題して、有機半導体の集積回路を用いた低コスト無線デバイスと組み合わせた大量普及型センサーを用いて、AIが主導するIoT社会を実現する取り組みの現状と計画について解説。さらに、PGV 代表取締役 松原 秀樹氏が、「メディカル分野におけるフレキシブルデバイスの可能性」と題して、脳波計測の技術革新が進展している。フレキシブル素材を用いることで実現した精度の高い脳波計測技術による認知症、更年期障害などを対象とした脳波AI研究の現状を紹介します。

同カンファレンスでは、講演者が参加する、パネルディスカッションも用意しています。ここでは、社会実装の段階に入ったFHEの用途開拓と市場拡大に向けた仕組みづくりからSDGsへの貢献まで、FHE市場の本格化を見据えた幅広い取り組みを議論する予定です。

FHEは、近未来の社会で解決すべき、数々の課題の解決に資するキーテクノロジーです。新たなビジネスの創出に向けたヒントを得るため、日本で唯一のFHE専門国際カンファレンスで情報収集してみてはいかがでしょうか。

FLEX Japan

第6回 FLEX Japan 2022

FLEX Japanは、軽く・薄く・曲がるフレキシブルエレクトロニクスとリジッドなシリコン半導体のハイブリッド技術とその応用を、展示とカンファレンスの両面から議論します。

会期
2022年12月14日(水)~16日(金)

会場
展示エリア:東京ビッグサイト 東ホール1
カンファレンス:会議棟 605+606

 

 

FLEX Japan 2021 集合写真