2021年11月9日(火)
半導体設備投資はどこまで加速するのか
SEMIジャパン 安藤 洋一郎
SEMICON Japan 2021 Hybridで明らかになる未来図
2021年1月に世界をかけめぐった「半導体の不足で自動車生産がストップ」というニュースを契機に、業界の外にいる人々の半導体産業に対する認識が大きく変わりました。おそらく本稿をお読みいただいている多くの方にとって、半導体の重要性は自明の理であり、改めて世間の気づきの遅さに驚いたかもしれません。アメリカ人がチップスというのは自動車の中で食べるスナックではなく、自動車を作る上で不可欠な部品であることに初めて気づいたというジョークが聞かれたほどです。
車載半導体不足の背景にDXの急激な進展
自動車産業が半導体不足に陥ったのは、看板方式に代表される自動車メーカーが部品在庫をもたない効率化戦略が裏目にでた結果ともいえるでしょう。下図に示したように、新型コロナウイルスの流行で、米国を中心に新車販売が大きく落ち込み、自動車メーカー各社が生産調整のために半導体の発注をキャンセルしたのがそもそもの始まりでした。半導体需要は、車載用では減少したかもしれませんが、図で一目瞭然のようにリモートワークや巣ごもり需要でむしろ増加しており、キャンセルされたファウンドリのラインはすぐに他産業向けの生産に振り替えられました。その後に自動車の販売が回復した時には、発注を入れる空きラインがなくなっていたのです。
U.S. Bureau of Economic AnalysisおよびSIA発表データからSEMIが作成
あらゆる産業が半導体を必要としている状況が、パンデミックにより一層加速されました。リモートワークは、何年も前から働き方改革が叫ばれていたにもかかわらず、ほとんど実現していませんでした。しかし、新型コロナウイルス感染防止のために会社に出勤できない状況が生じた途端、あっという間に出勤率7割減があたりまえになったのです。自動車産業のキャンセルは、パンデミックによるDXの急激な進展により、取り返しのつかない失敗になってしまいました。そして、半導体需要は増加の一途をたどっており、今では自動車以外にも、スマートフォンなど様々なエレクトロニクス製品の生産に影響を及ぼしています。
アナリストの予想を上回る設備投資の急伸
半導体の需要増加は、産業や社会のデジタル化という大きな流れの中で、今後も持続することが確実視されています。そこで、半導体メーカー各社は一斉に大型の設備投資に乗り出しました。こうした設備投資の増大は、2020年後半には明らかになっていたのですが、現実はアナリストの予測をはるかに超えるスピードで展開しています。
それはSEMIのアナリストにとっても同様で、半導体産業の設備投資は、上方修正を繰り返す予測を次々と上回っていったのです。SEMIの2021~2022年の半導体製造装置市場の予測の変化をグラフ(左)に示します。また10月にはいると、日本半導体製造装置協会(SEAJ)も、日本製製造装置の需要予測を修正していますので、同様にグラフ(右)に示します。
活発な設備投資はどこまで続くのか
現在、世界中で進んでいる半導体設備投資には、半導体需要への対応というだけでなく、国の戦略という側面が強まっています。半導体の重要性が明らかになるにつれ、自国への半導体の供給を保証することが、その国の国際競争力や安全保障という観点からも必要であるという考えから、国家戦略としての取り組みが各国で進んでいるのです。少し前までは中国の半導体産業に対する資金供給が突出していましたが、いまでは米国も日本も同様に資金投入をはじめています。いったいこのブームはいつまで続くのでしょうか。また、これだけの投資案件に対して、サプライチェーンは装置や材料の供給が可能なのか、また半導体では常につきまとう過剰投資の懸念はないのか、という疑問も分析する必要があります。
12月のSEMICON Japan 2021 Hybridでは、SEMIの2021年末の半導体製造装置市場予測が発表されます。これにより、2021年の着地点と、2022年の展開が最新のデータに基づいて示されますが、SEMICON Japanではこのほかにも、今後の半導体設備投資を予測する上で重要な市場情報を提供する3つのイベントを予定しています。市場が新たな高みに向かって大きく動いている今、その波を逃さないためにも、ぜひSEMICON Japanで最新の情報をご入手ください。
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モデレーター:
- OMDIAシニアコンサルティングディレクター 南川 明氏
パネリスト:
- ジェフリーズ証券 調査部 シニアアナリスト 中名生 正弘 氏
- JPモルガン証券 市場調査本部 株式調査部長マネジングディレクター 森山 久史氏
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- UBS証券 株式調査部 Managing Director 安井 健二氏
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