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2022年11月10日(木)

2つのメガトレンドの実践を支える半導体の姿を語るキーノート

株式会社エンライト 伊藤 元昭

 

あらゆる産業・業種の企業、政府や自治体などにおいて、業務のデジタル化によって効率化や新たな価値創造を目指す「デジタルトランスフォーメーション(DX)」が推し進められています。DXは、企業競争力を強化・維持するために不可欠であると共に、少子高齢化への対応や社会インフラの安定的運用、効果的な災害対策など社会課題の解決に向けても欠かせない手段です。

また、持続可能な社会の実現を目指して、「グリーントランスフォーメーション(GX)」の取り組みもますます加速してきています。自動車の分野ではエンジン車から電気自動車(EV)への移行が本格化。さらに、工場やオフィスなどの省電力化や再生可能エネルギーの活用を推し進めて、事業活動でのカーボンニュートラル達成を目指す動きも活発になってきました(図1)。

DXとGXという2つのメガトレンドに沿った取り組みを効果的かつ効率的に推し進めていくためには、より高度な半導体が、これまでにも増して大量に必要になってきます。半導体なくして、DXやGXの実践は不可能とさえ言えるでしょう。このため、DXを実践するための情報通信システムを開発する企業とそれを活用する企業、GXに向けた効率的な電力システムや再生可能エネルギー施設を開発・運用する企業からは、半導体業界に対するさまざまな要望が寄せられています。

 

図1


図1 DXとGX、2つのメガトレンドは半導体なしでは実践できない
出所:AdobeStock

 

2022年12月14日から16日にかけて東京ビッグサイトで開催されるSEMICON Japan 2022では、東2ホール内に設置したSuperTHEATERにおいて、半導体ユーザー、半導体メーカー、そして最先端の技術開発を担う研究機関による5件のキーノートが開催されます。社会基盤を進化させ、維持する役割を担い、それぞれの領域で技術開発とビジネスの両面でリードしている各社・各機関が、半導体の進化のあるべき姿と、その実現に向けた最新の取り組みについて語ります。

 

エレクトロニクスからフォトニクスへ

12月14日14時50分からは、日本電信電話 代表取締役会長の澤田 純氏が、「より良い未来をめざして ~ パラコンシステントワールド ~」と題して講演します。NTTは、DXに欠かせないネットワークサービスを提供する企業ですが、一方で、次世代情報通信の基礎技術の開発をリードする企業でもあります。そして、同社が将来の情報通信技術として構想し、研究開発を進めているのが「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想」です。

IWON構想とは、ネットワークだけでなく端末処理まで光化する「オールフォトニクス・ネットワーク」、仮想空間上でモノやヒト同士の高度かつリアルタイムなインタラクションを可能とする「デジタル・ツイン・コンピューティング」、それらを含むさまざまなICTリソースを効率的に配備する「コグニティブ・ファウンデーション」の3つで構成された、情報処理システムの基盤技術をエレクトロニクスからフォトニクスへとシフトさせる壮大な構想です(図2)。

IOWN構想のオールフォトニクス・ネットワークでは、ネットワークから端末、そして情報処理を担うチップの中にまで新たな光技術を導入することによって、これまで実現が困難だったレベルの超低消費電力化、超高速処理を達成することを目指します。電気信号を処理することを前提とする現在の半導体技術とは、異質な技術だと言えます。日本政府が推し進める「半導体・デジタル産業戦略(いわゆる半導体戦略)」では、日本の半導体産業の競争力を段階的に高めていく3ステップの実行シナリオを描いていますが、最終段階となるステップ3「グローバル連携による将来技術基盤」の確立において、IOWN構想を2030年以降の半導体業界にゲームチェンジをもたらす技術革新の開発の中心に据えています。そこでは、新たな半導体技術、新たな半導体ビジネスの創出が求められてきます。

澤田氏のキーノートでは、これから求められる情報通信基盤の姿、そしてIWON構想によって実現する社会について提起します。情報通信システムを、チップから応用機器、ネットワークまで刷新する構想がどのように進むのか。必聴の講演です。

 

図2


図2 IOWN構想のコンセプト

 

12月14日15時20分からは、米Qualcomm社Process Technology and Foundry Engineering VP –EngineeringのChidi Chidambaram氏が「Enabling Semiconductor User Experience in Slowing Moore's Law Era」と題して講演します。過去10年間にわたって、半導体業界は、製造プロセスの微細化だけに頼るのではなく、チップに搭載する回路ブロックを構成するロジックセルやSRAMセルの設計を協調最適化することによって、「ムーアの法則」を継続させてきました。「Design-Technology Co-Optimization(DTCO)」と呼ばれるアプローチです。ところが、セル設計の最適化効果にも限界があり、こうした手法が通用しなくなる時期が迫りつつあります。

そして、今後もムーアの法則を継続させて性能向上や消費電力の削減を図るためには、システムレベルでの最適化が必須になっています。チップレット技術によって、大規模チップを小さなダイに分割し、パッケージで統合する方法は、そうした文脈から求められる技術の1つです。Chidambaram氏のキーノートでは、これからシステムレベルの最適化を推し進めていく際の課題など、今後の半導体チップ開発の方向性について説明します。

12月14日15時50分からは、機械学習や深層学習(ディープラーニング)を活用して製造業や自動車、医療などの分野にイノベーションを生み出す日本を代表するユニコーン企業、Preferred Networks 代表取締役 最高経営責任者の西川 徹氏が「深層学習の新しい応用と、それを支える計算機の進化」と題して講演します。

「第3次AIブーム」と呼ばれた、ディープラーニングの熱狂的ブームは落ち着きつつあります。しかし、技術開発から社会実装への移行ができなかった過去のAIブームとは異なり、ディープラーニングの効果的な応用分野が明確化。技術開発のスピードが加速し、具体的な応用例が広がってきています。

西川氏のキーノートでは、本当の意味での産業応用が進む中で、同社が取り組む最新の技術開発と応用の事例を紹介します。さらに、効果的な応用の実現を支えるうえで、強力な計算機の保有が重要であることを指摘。競争力のある計算機を創出する同社の戦略について紹介します。Preferred Networksは、ディープラーニング処理に最適化した専用アクセラレータ「MN-Core」を開発し、それを搭載したサーバーで構成する大規模クラスターを稼働させるなど、半導体開発でも力を発揮しています。その同社が考える未来と、そこに向けた施策は注目です。

 

関連プログラム

SuperTHEATER


澤田 純 氏キーノート:日本電信電話 澤田 純
より良い未来をめざして ~ パラコンシステントワールド ~

日時:12月14日(水)14:50 – 15:20
会場:東京ビッグサイト 東2ホール SuperTHEATER
参加費:無料

 

Chidi Chidambaramキーノート:Qualcomm Chidi Chidambaram
Enabling Semiconductor User Experience in Slowing Moore's Law Era

日時:12月14日(水)15:20 – 15:50
会場:東京ビッグサイト 東2ホール SuperTHEATER
参加費:無料

 

西川 徹 氏キーノート:Preferred Networks  西川 徹
深層学習の新しい応用と、それを支える計算機の進化

日時:12月14日(水)15:50 - 16:20
会場:東京ビッグサイト 東2ホール SuperTHEATER
参加費:無料