2020年11月20日(金)
SEMICON Japan 2020 Virtual Report - Keynote Part 2
半導体の新アプリケーション潮流と
日本半導体の進路
SEMI Japan 安藤 洋一郎
EUVリソグラフィの本格的導入がはじまり、半導体プロセスがいよいよ5nmさらには3nmへと進む道筋が見えてきました。300mmファブへの投資も今年は予想を上回る勢いで2018年のピークを越えようとしています。まさに半導体産業の成長は、新たなステージに突入したと言ってよいでしょう。
本稿では、半導体の搭載量が急増しエレクトロニクス製品の要素を強める「自動車」、また半導体製造技術を使った非半導体技術である「量子コンピューティング」についての2つのキーノートセッション、そして新たな成長局面にはいった半導体市場に向けた「日本企業の戦略」と、海外企業からの「国内サプライチェーンへの提言」をとりあげたセッションをご紹介します。
エレクトロニクス技術の集大成としての自動車
半導体はあらゆる分野に浸透し、異種技術と融合することによって、これまでになかった性能や利便性をもたらしています。そのひとつの象徴が自動車でしょう。自動車を「車輪のついたスマートフォン」と表現した方がおられるように、自動車はさまざまなエレクトロニクス技術の集大成といえる存在になりました。多様なセンサーとAI、また5Gによりクラウド、インフラ、自動車間の接続によって実現する知能化、そしてHVやEVの電動化が2つの大きな流れとなって、自動車へ半導体を注ぎ込んでいます。
12月14日(月)に開催するSMART Mobility 1では、こうしたカーエレクトロニクスの最先端を疾走する日本企業2社のエグゼクティブに登壇いただきます。日産自動車 執行役副社長の星野朝子氏は、「<電動化×自動運転化の未来予想図>Beyond Mobility~移動のその先へ、社会を前進させる日産のモビリティ~」と題する講演で、100年に一度と言われる自動車の変革期にあって、この先のモビリティの世界と自動車メーカーの役割の未来予想図をお話いただきます。自動車道路での手放し運転を実現した日産の今後の展開は聞き逃せません。
ソニーの執行役員AIロボティクスビジネス担当の川西泉氏は、講演「ソニーが挑むクルマづくり」において、CES 2020でプロトタイプカーとして披露されたソニーの新たなるコーポレートプロジェクトVision-Sについて、そのモビリティに対する考え方や取り組み、また第一弾となったプロトタイプ車両の概要と今後のチャレンジを紹介いただいます。開発秘話もご披露いただけるとのことで、興味がつきません。
半導体プロセスで実現した量子ビット
桁数の多い素因数分解や巡回セールスマン問題など、半導体素子を使ったデジタルコンピュータでは計算が困難な問題を解くことができるとして、化学物質の発見や金融商品の開発など様々な分野で実現が待ち望まれているのが、量子コンピュータです。現在はまだその黎明期といえますが、1と0の2つの状態が重なり合う量子ビットをハードウェアとして実現したのは、半導体の加工プロセスを利用して作られる超電導回路でした。半導体製造技術で半導体ではない超伝導体の回路を作るというのも不思議ですが、半導体の微細化技術の新たな展開といえるかもしれません。
12月15日(火)に開催されるThe Era of Quantumでは、量子コンピュータの開発のトップランナーと新たなベンチャー企業が、その最先端の技術動向を語ります。IBM ResearchのIBM Fellowであり量子コンピューティング担当副社長のJay Gambetta氏は、講演「Quantum circuits and the future of quantum technology in the cloud」において、この数年で研究室の中からクラウドへとアクセスを広げた量子コンピュータについて、IBMの超電導量子デバイス開発と応用の研究をご紹介いただきます。量子コンピュータをリードし、国内でも東大へのシステム設置が予定されるIBMの考えを理解するためにも期待されます。
Quantum Semiconductorの共同設立者・CEOであるCarlos Augusto氏は、講演「Transforming the Semiconductor Industry with Quantum Materials」において、コンピューティング、センシング、通信、セキュリティへと広がる量子技術の普及には、室温で動作するシステム・オン・チップ化が不可欠だと論じ、そのためにのHgTe/CdTe、InAs/GaSbやSiベース材料技術を使ったCMOSコンパチブルなデバイスを探求します。半導体業界にとって聞き逃せない興味深い講演です。
日本半導体のこれからを国内外リーディングカンパニーが語る
このほかにも、SEMICON Japan 2020 Virtualでは、次のようなテーマをキーノートとして提供する予定です。
デジタルトランスフォーメーションの進展と共に需要が拡大する半導体ですが、この成長の源泉となるのは、微細化をはじめとする製造技術のイノベーションです。日本の半導体産業は、デバイス、装置、材料の各分野で世界における重要なポジションを占めていますが、これからとるべき進路はいかにあるべきでしょうか。SEMICON Japan Virtualのキーノートでは、12月16日(水)と17日(木)にわたって、「半導体グローバルリーダーが語る」を開催し、その指針を提供します。
12月16日のPart 1:国内リーディング企業の戦略には、日本を代表する半導体企業のトップが登壇。CMOSセンサーで圧倒的シェアを誇るソニーセミコンダクタソリューションズ 代表取締役社長の清水照士氏は、「イメージセンサー技術開発の動向とAIによるソリューションビジネスの実現」と題する講演で、同社のイメージセンサー技術の動向と、将来に向けたエッジAIによるソリューションビジネスの展望を語られます。世界第3位の装置企業である東京エレクトロン代表取締役社長の河合利樹氏は、講演「すべては夢のある社会の発展のために」で、半導体およびディスプレイ産業の成長を支える同社の革新的な技術力と独創的な提案力、またそれらを通じた夢のある社会の発展への貢献を語られます。
12月17日のPart2:海外リーディング企業からの提言では、世界のトップICメーカーが、海外顧客の視点から日本のサプライチェーンへの提言を語ります。Intelの最高サプライチェーン責任者であるRandhir Thakur氏は、「Unleashing the potential of Data: Opportunities for Semiconductor Ecosystem」と題して、データの時代に求められるコンピューティング性能を提供するために求められる、同社とエコシステムパートナーとの緊密な協力関係について講演されます。また、ファウンドリー業界のトップを走るTSMCのチーフサイエンティストであり、スタンフォード大学電子工学部教授であるH.-S. Philip Wong氏の講演も予定されています。
各講演はいれも、開催日翌日から1月15日まで、録画のオンデマンド視聴が可能です。