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WORLD OF IOT通信 2017 Vol.6 Repo.1 Drones

WORLD OF IOT
ドローンのビジネスと技術の概要

国立ドローン・ジャパン(株)
取締役会長
春原 久徳

 

ドローンビジネスの現況

2007年頃から、ドローンはホビー市場をはじめ、有人ヘリ等を使う空撮専門業者の間で拡がってきた。こうした中、2013年にアメリカのAmazonがドローン利用による配送システム「Amazon Prime Air」を発表したことで、大きく注目されることになった。日本においては、2015年4月に首相官邸に落下する事件が起こり、その事件を通じて「ドローン」が一般的に知れ渡るようになった。

これまでIT関連の技術や産業が拡がっていく局面では、その初期段階で個人ユーザーを主体としたコンスーマー(一般消費者)の果たした役割が大きかった。まずはコンスーマーの間でデバイスの数が拡がり、そのデバイスの拡大の上で、ソフトウェアアプリケーションやサービスといったものが開発・実装され、拡大していくという流れであった。そして、その一般消費者向けに広まったIT製品やサービスを企業でも利用するというコンシューマライゼーションも起きた。

しかし、ドローンに関しては、先ほど述べた首相官邸での落下事件等もあり、飛行に関する規制の必要性が問われ、2015年12月に航空法が改正され飛行ルールや飛行区域が定められた。これにより、業務でのドローン活用を検討している企業にとっては、飛行申請/許可といったプロセスができて活動しやすくなったが、その一方で、対象範囲が200g以上の機体となったこともあり、個人ユーザーにとっては飛行に制限がかかることになったのは否めない。この流れは日本国内に限ったことではなく、世界中で同様のルールが決められていく動きとなっている。そういった動きを背景に、産業の中心は、一般消費者から業務用途にシフトしている。

 

日本国内のドローンビジネスの市場規模

2016年度の日本国内のドローンビジネスの市場規模は353億円とされ、2015年度の175億円からほぼ倍増している。2017年度には前年比51%増の533億円に拡大し、2022年度には2,116億円(2016年度の約6倍)にまで達すると見込まれている。

これを分野別に見ると、2016年度はサービス市場が154億円と43.6%を占めており、機体市場が134億円、周辺サービス市場(バッテリ、保険、スクールなど)が65億円である。各市場とも今後も拡大が見込まれているが、2022年度においては、サービス市場が1,406億円(2016年度の約9倍)、機体市場が441億円(2016年度の約3倍)、周辺サービス市場が269億円(2016年度の約4倍)に達する見込みだ。

 

出典:インプレス総合研究所「ドローンビジネス調査報告書2017」

出典:インプレス総合研究所「ドローンビジネス調査報告書2017」

 

世界の状況との比較でいえば、機体市場は、DJIの寡占化が進んでいることもあり、中国が強く、サービス市場は欧米において、その開発が進んできている。

 

ドローンの役割

ドローンの役割は、大きく二つの大別される

(1)   作業用ドローン

「モノを運ぶ」「散布」といったドローンに直接作業させるもの

(2)   データ収集用ドローン

  • その取得した画像や映像をそのまま使う空撮。
  • 空中からのデジタルスキャニング。データ活用に重点が置かれており、取得したデータを分析したりするもの。

 

ドローンとラジコンの違い

ドローンは、受信機とモーターアンプの間に「フライトコントローラー」と呼ばれるマイコンが搭載されている。このフライトコントローラーが、ラジコンとドローンの違いの大きなポイントになっている。

受信機を介して受けた操舵やスロットルの操作信号はフライトコントローラーによって、各種センサーからの機体動作状態を検出し、姿勢制御を自動で行いながら、個別のモーターへの回転数を計算し、モーターアンプに伝える。これにより、操縦者は繊細な操作なしに機体の姿勢や高度を維持すること(自律航行)が可能になり、簡単に操縦することができる。

 

ドローンの技術フレームワーク(Drone as a Service)

ドローンシステムは、主に以下の4つのリソースによって成り立っている。

  1. 機体上のフライトコントローラー(Fright Controller)
  2. 機体上のコンパニオンコンピューター(Companion Computer)
  3. 地上側のPC、タブレット、スマホ
  4. クラウド(Cloud Service)

それは以下のようなフレームワークによって示される。

 

図フレームワーク

 

1.フライトコントローラー

フライトコントローラーは、まさにドローンを“自律”たらしめるもので、人間の機能でいうと小脳の機能に近いようなある種の運動性を司っている。具体的には、フライトコントローラーに以下のようなセンサーが内蔵または接続されることで、“自律”を行っている。

  • ジャイロセンサー:回転する変化(加速度)を検知。
  • 加速度センサー:移動により生じる加速度を検知し、どの方向にどれくらい動いたかを計算する。
  • 気圧センサー:気圧差を計測し、高度変化や高度位置を計算する。
  • 磁気センサー:方位や場所に起因する磁気の変化を捉える。
  • 超音波センサー:対象物からの距離を監視する。
  • GPS/GNSSユニット:衛星からの信号を捉えて位置を特定する。

2.コンパニオンコンピューター

コンパニオンコンピューターは、2015年ぐらいから開発が急速に進められつつある。フライトコントローラーでは、主にARM系のレスポンシビリティ性が高いCPUが使われるのに対し、コンパニオンコンピューティングでは、より処理能力が高いNVIDIAやINTEL系のCPUが使われる傾向にある。

これはフライトコントローラーが小脳的な運動性を司る機能だったのに対し、コンパニオンコンピューターは、いわば人間の大脳に相当するより自律性を高める機能になっているからである。

現在、コンパニオンコンピューター上で、画像解析による衝突回避や他ドローンとの群制御といったものが開発され始めている。この開発が進み、人工知能(AI)が活用されることで、ドローンは自ら判断し目的に応じて航行していくといった形になっていくだろう。現在、一番ホットな開発領域となっている。

3.アプリケーション

このリソースに関しては、現在、操作用のアプリケーションやテレメトリーと呼ばれる機体からの情報収集用アプリの他、自動航行用のソフトウェアなどが開発されている。さらに、今後、飛行ログの解析といったものも非常に重要なツールとなっていくだろう。

4.クラウドサービス

クラウドでのソリューションに関しては、現在、日本では機体から直接クラウドに上げるための手段が少なく(現状、SIMはドローンに搭載して使用することが制限されている)、地上側のPCやタブレット、スマホを経由してデータが送られている。

そのクラウド上で、主にドローンで取得したデータの処理や解析を行うサービス、具体的にはドローンの空撮映像を3Dマッピング化するといったデータ加工サービスや、ドローンで撮った画像・動画を共有するサービスなどが海外で展開され始めている。

さらに、ドローンの機体や運用、データを管理するサービスも始まりつつある。

今後、ドローンへのSIM搭載が一般的になれば、よりリアルタイムに機体を管理したり、遠隔地の画像や映像をリアルタイムで送ったりするようなサービスも生まれてくることだろう。

 

ドローンの技術課題

航行時間:

通常のマルチコプターでは、20-30分くらいの航行でバッテリーを交換する必要がある。ドローンの活用が拡がる中で、航行距離をもっと伸ばしたいという要望がある。モーターの効率化やバッテリーの改善、燃料電池の活用などが検討されている。また、機体も回転翼型だけでなく、固定翼型(飛行機型)のドローンの開発も積極的に進められている。固定翼型は着陸の際に一定の滑走路が必要なため、回転翼と固定翼の特徴が合わさったVTOL(Vertical Take-Off and Landing)機体の開発も積極的に行われている。

非GPS環境下での測位と安定:

ドローンは飛行安定および測位において、GPS/GNSSに頼っている。そのため、GPSが使用できない室内や構造物の下などでの安定や測位がとれない。現在、橋梁やトンネルといったインフラ点検での活用や、工場や倉庫などの室内でのドローン活用の期待が高まっており、非GPS環境下での測位や安定に対しての開発要望が高い。

電波の長距離伝達や安定性:

2016年は電波法改正により2.4GHzおよび5.7GHzの高出力やSIMのドローン搭載の実験的利用といったかたちで電波の課題が進んだが、その実用化に向けたステップを踏んでいくことが重要だ。

セキュリティ:

現在、ドローンは以下のような多くのセキュリティ上の脆弱性がある。

  • オペレーターや機体の認証
  • ハッキング
  • データ改ざん

こういった脆弱性に対しての改善が必要になっている。

 

 

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