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WORLD OF IOT_通信_Report_3

 

   

 IoT ベンチャー、スタートアップと業界再編動向
 - 半導体、AI、インダストリー関連など幅広い分野で活発化 -

 

木下 剛

 

一般財団法人インターネット協会 副理事長 
木下 剛

IoTエバンジェリストとして業界活動に幅広く従事中。
元 シスコシステムズ 日本法人専務執行役員、最高技術責任者(CTO)

 

2016年は、世界で衝撃的ニュースとして受けとめられたソフトバンクによるARM買収(2016年7月、買収金額 約3.3兆円)や、Qualcommによる NXPセミコンダクターズの買収
(2016年10月、買収金額 約4.95兆円)など、半導体業界ではIoTに関連した大型買収や再編が相次いだ激動の一年でした。
第3回レポートでは、特にIoTと密接した業界再編と、ベンチャー、スタートアップ企業の動向について取り上げます。

 

IoT戦略が中心となった半導体業界激動の一年

2016年の半導体業界では、幅広い分野のスマートプロダクト製品(ウエアラブル、ドローン、AR/VR、各種ロボット、自動車など)で求められる組み込み向け通信技術及び、AIなどのIoTテクノロジーの適用領域の拡大を見通した次世代事業戦略としての大型の業界再編やベンチャー買収などが相次ぎました。

まず年初に、ウェアラブルデバイス分野向けの低消費電力で優れた通信技術を保有するイスラエルのスタートアップAltair Semiconductorソニーによって買収されることが発表されました(買収金額 約250億円)。続いて4月には、同じく IoT向け通信技術関連のCypressによるBroadcomのワイヤレスIoT事業の買収(買収金額 約560億円)が発表されました。さらに8月は、Intelが元Qualcommのリサーチャによって創業されたAI関連スタートアップNervana Systemsを約400億円で買収し注目を浴びています。これら半導体業界を巡ったIoT関連の業界再編の動きの中でも、最もセンセーショナルなニュースは7月に発表されたソフトバンクによるARM買収(買収金額は約3.3兆円)と、10月に公式発表となったQualcommによるNXP Semiconductors(買収金額は約4.95兆円)でしょう。これら組み込み向け半導体分野での大型買収は、半導体業界の今後の勝敗のカギをIoTが握っていることを示した動きといえます。

 

堅調な伸びが見られるIoTベンチャー市場

半導体業界を含め新たなIoT市場拡大において重要な役割を果たしているのはスタートアップです。これまでに約1兆3,000億円の資金調達がなされ、現在は、約1,500のスタートアップがIoT関連での新規事業展開に幅広く活発に取り組んでいることが報告されています *1。これらIoTベンチャーやスタートアップは、2010年前後が第一次参入ブームといわれています。IoT元年といわれる2013年はGE、Intel、Cisco Systemsなど大手企業が揃ってIoT戦略を打ち出した事業を立ち上げましたが、これらIoTスタートアップは数年先駆けて事業参入していました。これらが当初のウエアラブルやスマートホームなどコンスーマ向けIoTサービスから、今後の主流であるインダストリアルIoT市場の形成、拡大へ大きく貢献したといえるでしょう。

 

図1:IoTスタートアップの事業活動領域概況 *1

図:IoTスタートアップの事業活動領域概況

 

IoTベンチャー市場とのコラボを推進する企業

2016年単年度だけでもIoTスタートアップに対して約3,700億円の資金投入が見込まれていますが、資金支援者の上位をみると、従来のVCに加えてIntel、Qualcommなど コーポレートVCが台頭してきていることが注目されます。これは、IoT市場がインダストリーIoTへシフトしていることからIoTがもたらす事業開発機会と競争力強化戦略を背景に、活発なスタートアップ支援を通じた共同イノベーション活動を展開しようとしていることがうかがわれます。実際に、前年2015年の資金支援者のうちコーポレートVCはトップ12社中3社(Intel、 Qualcomm、Cisco Systems)でしたが、最新レポートではGE、Googleが加わり、5社に増加しています。

 

図2:IoTスタートアップ資金調達支援ランキング *2

図2:IoTスタートアップ資金調達支援ランキング*2

 

当初のIoTベンチャーやスタートアップは、ウェアラブルやスマートホームなどコンスーマ向けIoTサービス事業が主体でしたが、現在は、大きく捉えると、ヘルスケアなどを含むインダストリアル(産業分野)向けIoTを中心にした バーチカルソリューションベンチャー系と、インフラテクノロジーベンチャー系の2つの領域への参入が継続的、かつ活発にみられます。バーチカルソリューションベンチャーは、当初はコンスーマー向けIoTサービスが過熱していました。Googleによって買収されたnestやFitbitなどがその代表例です。しかし、近年では、ヘルスケア、製造、コネクテッドカー、運輸・輸送、スマートグリッド・エネルギー関連、流通小売など産業分野にシフトしている傾向がみられます。インフラテクノロジーベンチャーは、前述の半導体技術領域に加え、センシング技術、AI、プラットフォームソフトウエア、セキュリティなどが主な領域であり、同様に、近年は産業分野向けにフォーカスしたスタートアップが主体となってきていることが注目されます。また、これらインダストリー向けIoT関連スタートアップは事業会社によるM&Aも引き続き活発です。2016年は、Cisco SystemsによるJasperの買収(買収額約1,400億円)や、SAPによるPLAT.ONE の買収 (買収額約2,000億円)など、IT企業による法人向けビジネスIoTポートフォリオー補完を目的としたM&Aが活発に行われました。さらに、製造業やエネルギー分野などデジタル化時代に向けて、産業用ロボット(例、Universal Robot)、3Dプリンティング、AI & Analyticsソフトウエアなどの産業界からのM&Aも増加しており、これら約7年を経たIoT関連スタートアップはM&Aのターゲットとして注目されています。

 

図3:比重の高まるインダストリーIoT関連スタートアップ活動 *3
朱色:インダストリーIoT関連,  青色: IoT関連全般

図3:比重の高まるインダストリーIoT関連スタートアップ活動 *3

 

図4: IoT関連スタートアップExit動向 *4

図4: IoT関連スタートアップExit動向 *4

SEMICON Japan 2016では、約30社を超える技術系スタートアップが集う村 「INNOVATION VILLAGE」 が今年も登場します。
展示やプレゼンテーション(ピッチ)、レセプション(ミートアップ)を通して、未来へのさらなる一歩を模索します。
ぜひ、会場に足を運び、技術系・ものづくり系スタートアップの"熱い今"を体感してください。あなたも歴史の証人になれるかもしれません。

 

>> 前号を読む・・・ インダストリーIoT市場拡大の鍵として期待される フレキシブル・ハイブリッド・エレクトロニクス(FHE)

 

*1 出典元:CBinsight Internet of Things Update Q3 2016

*2 出典元: CBinsight IoT資金調達動向2016. 10

https://www.cbinsights.com/blog/iot-most-active-investor-infographic/?utm_source=CB+Insights+Newsletter&utm_campaign=92f44330a8-Top_Research_Briefs_10_29_2016&utm_medium=email&utm_term=0_9dc0513989-92f44330a8-88137181

*3 出典元: CBinsight IoTスタートアップ四半期別資金調達動向2016. 10

https://www.cbinsights.com/blog/industrial-iiot-vs-broad-iot-funding/?utm_source=CB+Insights+Newsletter&utm_campaign=858ef521c5-Top_Research_Briefs_10_15_2016&utm_medium=email&utm_term=0_9dc0513989-858ef521c5-88137181

*4 出典元: VentureScanner Internet of Things Exits by Category and by Year – Q4 2016 2016. 11

https://venturescannerinsights.wordpress.com/category/internet-of-things-iot/

 

<SEMICON Japan 2016 / WORLD OF IOT>
2016年12月14日~16日 東京ビッグサイト
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